人をほめるときは、邪視除けのために「神様の祝福がありますように(tbāṛek
ḷḷāh)」という句を必ず唱えます。ほめ言葉が省略されて、この邪視除けの句だけのこともあります。
これを言わないと、妬み(ḥsed)があり、邪視(‘ayn)を意図していると受け取られかねません。
女性の中には邪視をとても恐れている人がいます。そういう人は、邪視除けの言葉だけでは安心できないのか、相手に見えないようにテーブルの下や身体の後ろでこっそり、手のひらを前方に向けて邪視をはね返そうとします。
モロッコだけでなく、アルジェリアやチュニジアでも、手の形のアクセサリーやドアノッカーをよく見ます。これは邪視除けのお守り(護符)です。「ファーティマの手」として有名ですが、アラビア語モロッコ方言では「5(khemsa
あるいは縮小形で
khmīsa)」と呼ばれています。 |