アラビア語の法則

 

 

 

ヒッチハイク

 

モロッコ

モロッコ最南部、アンチアトラス山脈南縁の半砂漠地域をランドクルーザーで走行していたときのことです。人の住む気配など全くない荒野の真っ只中にもかかわらず突然、人が現れました。おじさんが大きく手を振って、進行方向を示しているのです。車に乗せてもらいたがっていることは明らかです。なにしろ、車が一日に数台通るかどうかというような辺鄙な所。徒歩では目的地まで何時間かかるのか見当もつきません。車を停めて乗ってもらいました。

大都市、あるいは大都市間の移動には輸送手段がいろいろありますが、地方では公共輸送機関が皆無であったり極端に少なかったりするので、田舎道を走っているとヒッチハイク(loṭosṭob:仏語l’auto-stop)の希望者に遭遇することがよくあります。私一人のときでも、状況や人をよく見て判断した上で乗せるようにしたら、新しい発見がありました。

ヒッチハイクというのは無料で車に乗せてもらうことだと私は思い込んでいたのですが、大抵のモロッコ人はお金を払おうとするのです。もちろん、「いいです」と断っていましたが、ある時、その金額がいくらなのか知りたくなりました。ヒッチハイクの謝礼の相場は一体いくら位なのでしょうか。

民間バスが故障して立ち往生していたので、乗客を3人、後部座席に乗せました。降りるときに女性がお金を渡そうとしたのでしょう。男性が「この人は外国人だから払わなくていいんだよ」と教えているのが聞こえてきました。それが相場を知る最後のチャンスだったのですが…。