床屋ハッジャーム(ḥajjām)についての話。
ハッジャームという言葉は、「吸角法(ḥjāma)を行う人」を意味します。吸角法というのは、身体の特定の場所に剃刀で小さな傷をつけておき、吸角(qārūra)を当てて中の空気を抜き、悪い血を出す療法です。
モロッコでは、床屋が副業として吸角法を行ってきたからでしょうか。床屋をハッジャームと呼びます。
ハッジャームには、整髪しか行わない人と、本業以外にも吸角法や割礼、抜歯を行う人とがいます。
また、結婚式等の祝宴で客に菓子や飲み物を配るウエイターもハッジャームと呼ばれますが、彼らは床屋ではありません。
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マラケシュのフナー広場や定期市で、抜いた歯を並べている人を見かけます。それは抜歯の専門家(mūl
ḍ-ḍṛūṣ)です。歯は自分の実力を誇示するために飾っているだけで、歯を売っているわけではありません。 |