主食はパン(khobz:
1個はkhobza)です。
モロッコの伝統的なパンは、丸くて厚みがあります(2~4センチ)。パン生地(‘jīn)は家でつくります。近所にパン焼き屋(feṛṛān)があるところでは、パン生地を持ち込んで焼いてもらいます。そうでないところでは、家庭用のパン専用オーブンか、かまどで焼きます。
市販のパン(khobz
s-sūq)を買うのは、来客があってパンが足りないか、勤め人だけ。以前は、店のパンを買うのは怠け者(me‘gāz)と見られて恥ずかしいことだったそうです。
パンはパン屋(mekhbaza)や菓子店(ppatisri:仏語pâtisserie)、食料雑貨店(ḥānūt
/ ppisri:仏語épicerie)等で購入します。
パンの値段は全国一律です。
丸いパン(khobz mḍūweṛ)は普通のパン(khobz
‘ādi)の他にも、全粒パン(khobz
de-l-ḥamṛa)、硬質小麦パン(khobz
de-z-zṛa‘)、セモリナパン(khobz
smīda)、大麦パン(khobz sh-sh‘īr)、無塩パン(khobz
messūs)があります。
フランスパンもあります。バゲット(baghiṭ:仏語baguette)や、バゲットより細いフリュート(flūt:仏語flûte)、バゲットより太いバタール(kumir)等――それぞれ1個を示すときは語尾にaがつきます。
パンが道に落ちているのを見つけたら、拾ってパンにキスし、通行人に踏まれないように高い所に置きます。誤ってパンを踏んでしまったときは、「主よ、お許しください(yā
rabb-ī
tesmeḥ
l-i)」と言います。 |