アラビア語の法則

  

 

 

「いただきます」「ごちそうさまでした」

 

フスハー

A-いただきます。

bi-smi llā(hi) .

 أ – بِٱسْمِ ٱللهِ.

B-ごちそうさまでした。

al-ḥamdu li-llā(hi) .

慈愛深く慈悲あまねき神の御名において

bi-smi llāhi r-raḥmāni r-raḥīmi.

بِسْمِ ٱللهِ ٱلرَّحْمٰنِ ٱلرَّحِيمِ.

この句をバスマラといいます。コーラン全114章のうち9章以外は、このバスマラで始まります。本や手紙の冒頭にもよく見られます。

神の加護と祝福を願う言葉で、食事や旅行等の他、重要な行為を始めるときに唱えられますが、口頭で言うときはたいてい後半部を省略します。

上にあるように、バスマラでは اِسْمٌ 「名前」の語頭の ا 書きませんが、略式バスマラのときは書くのが原則ですA。原則というのは、文法書には書くと明記されているにもかかわらず、書かれていない例がよく見られるからです。

 

B)は「称讃は神様のものである」という意味です。食べ終わったときに、神様に感謝して唱えます。

 

 

  

 

シリア方言

A-いただきます。

bэ-sm эlla(h).

 أ – باسم الله.

B-ごちそうさまでした。

ḥamd эlla(h) / l-ḥamdu lэ-lla(h).

ب – الحمد لله.

よそのお宅でごちそうになったときに、その家の方に感謝して言う「ごちそうさまでした」は、次のようになります。

A1-ごちそうさまでした。

dāyme.

أ – دايمة.

A2-ごちそうさまでした。

ṣэfra dāyme.

  – سفرة دايمة.

B1-(返事)ご健康を。

ṣaḥḥatēn.

ب – صحّتين.

B2-(返事)ようこそ。

’ahla wa-sahla.

    – أهلا وسهلا.

A1)は食事の後だけでなく、お茶やコーヒーをいただいたときにも使います。

A2)は「いつも食卓にご馳走がありますように」といった意味で、食事の後しか使いません。また朝食では使いません。

 

 

チュニジア方言

A-いただきます。

be-smi ḷḷāh.

 أ – باسم الله.

B-ごちそうさまでした。

l-ḥamdu llāh.

ب – الحمد لله.

 

 

モロッコ方言

A-いただきます。

bi-smi llāh.

 أ – باسم الله.

B-ごちそうさまでした。

l-ḥamd llāh.

ب – الحمد لله.

よそのお宅でごちそうになったときに、その家の方に感謝して言う「ごちそうさまでした」は、次のようになります。

A1-ごちそうさまでした。

ḷḷāh ikhlef.

 أ – الله يخلف.

A2-ごちそうさまでした。

ḷḷāh ij‘al fī-k l-baṛaka.

   – الله يجعل فيك البركة.

B1-(返事)ご健康を。

b-ṣeḥḥt-ek.

ب – بصحّتك.

B2-(返事)ご健康と安らぎを。

be-ṣ-ṣeḥḥa u-ṛ-ṛāḥa.

   – بالصحّة والراحة.

A1)は「神様が報いて下さいますように」という意味です。買い物客やタクシーの乗客が代金を支払ったときも、この言葉をかけられます。

A2)は「神様があなたに祝福を与えて下さいますように」。